修羅場!?の花火大会。

先日、伊勢に住んでいる知り合いから、
「今年は伊勢の花火大会、中継担当せぇ~へんの~?」
・・・と呑気な電話がかかってきました
あのぉ~、僕、今、日本最南端の
沖縄県・琉球放送でアナウンサーやってるんですけど・・・
知り合いも、僕が沖縄に住んでいることは分かっているのですが
「
放送の仕事は、地域に全く関係なし」
と勝手に思っておりまして・・・
僕は、沖縄に来る2年前まで
三重県伊勢市で神職資格を取得するべく
大学の専攻科で神道学の勉強をしていて、
その傍ら、地元のケーブルテレビ局等で
ニュース番組や特別番組のキャスターの仕事もしていました。
専攻科の履修課程は、一週間ぎっしり詰まっていて
おまけに神社実習や神社奉職研修などがあるため
仕事やアルバイトをする余裕なんてありませんし、
実際、そういうクラスメートは皆無でした。
でも、それに敢えて挑戦したくなるのが
あまのじゃくな僕の性格。
「
前例がないんやったら、
僕が前例を作ればええだけのことやん」
と開き直り、周囲に迷惑をかけながら、
沢山クリアしなければいけない試験も仲間たちに助けられながら、
なんとか無事、専攻科を修了することができたんですよ
それはさておき・・・。
僕が住んでいた伊勢では、毎年7月の中旬に
全国のトップを切って盛大な花火大会が開催されます。
この花火大会は、
全国各地から選りすぐりの花火師たちが集結し、
その年の花火の安全祈願をするために
伊勢神宮に奉納する意味をこめて
腕を競い合う歴史ある競技大会で、
伊勢市民にとっては、毎年恒例の一大イベントなんです。
その様子を、地元ケーブルテレビ局で
「最初から終わりまで放送しよう」ということになり、
僕は2時間半ほどある
花火大会の特別番組のキャスターを担当することになったんです。
伊勢市は、伊勢神宮のお膝元ということで
全国規模の神社関連の盛大なお祭りが沢山あるので
「神社の事にも精通していて、アナウンサーの経験もある」ということで
よく特番のキャスターに起用して頂き、
地元の放送関係者の方には、随分、お世話になりました
そんな花火大会、当日。
僕は、午前中に専攻科の前期試験を終わらせて、
現場へ直行し、スタッフたちと番組の打ち合わせをしていたら、
ディレクターが慌てて、僕のところへ駆け寄ってきました。
「
えらい、すんません。
実はゲストの花火師さんが来られへんって・・・」
花火大会の生放送の場合、
僕のような番組のキャスターは
ゲストの花火師さんから
花火についての基礎知識や楽しみ方、裏話など、
タイミングをはかりながら、
できるだけ多くの話を引き出すことを役目としているのに、
その相手がいないとなると、
番組自体が成り立たなくなってしまう恐れもあります
でも、生放送までの時間は刻一刻と迫っている・・・。
いやっ、これは、一人でもやらなあかんやろ・・・。
僕は、その場で慌てて番組で話す内容の資料をかき集めて
あとはジタバタせず、OA開始。
何とか2時間半の生放送を一人で乗り切りました
人間、というより僕の場合、
ピンチに追い込まれた時ほど図々しくなるもので
「ゲストが来られない!」と分かった時は
一瞬「どうしよう!」と思ってしまいましたが、
ある程度の準備を済ませると
それからは実に生意気というか、横着というか
「
こうなりゃ、一人でも何とかなるわい。
映像さえキレイやったら、あまり喋らへんでも番組は成り立つしなぁ~♪」と
完全に開き直ってしまい、
生放送中も仕事を忘れてしまうほど、
ダイナミックでキレイな花火に見とれてしまう有様。
僕は基本的に、放送前は
あまり口に食べ物を入れないようにしているので、
その放送終了後に食べた、冷えたロケ弁が
格別に美味しく感じましたよ
どのような仕事でも同じだと思いますが、
アナウンサーという仕事でも
本当に色々なハプニングがあります。
新人時代の恥ずかしい大失敗や
これまで体験したハプニングの数々を振り返ると
周囲に沢山迷惑をかけてきたかも知れませんが、
無駄な経験など、1つもありません。
アナウンサーになって9年目を迎えた今、
なんとか普通に放送ができているのも
こういった失敗やハプニングを重ねてきたからこそ。
そして、あまり体験はしたくないけれど
番組作りに関わっている限り、
これからも、こういったことは定期的に訪れるはずです。
その時は、初心に戻って
出来る範囲のことをするしかないので
慎重に、かつ、おおらかに構えて
目の前の仕事に取り組んでいきたいと思っています。
思い出たっぷりの
伊勢の花火大会、久しぶりに見に行きたいなぁ~
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