RBCアナウンサー山野本竜規の「ナカトリモチ日記」

神社の神職は神と人との間を取り持つ「ナカトリモチ」。 神職資格を持つRBCアナウンサー山野本竜規が、仕事の 裏側からプライベートまで日々の出来事を皆さんにお届けします。
☆新しいブログは、こちら→ 続・ナカトリモチ日記 ←是非、ご覧下さい!☆

2008年04月03日

殺さないで!

殺さないで!昨日、ニュースの特集取材で行った現場です。

冷たい鉄格子の向こうには、
この写真撮影のすぐあとに殺処分される
ワンちゃん、ネコちゃんたちが
悲しそうな声で鳴いて、いやっ、泣いていました。

でも、これが沖縄県のペット事情の
悲しい、悲しい現実です。


今、担当している夕方ニュースの特集取材で、
ペットブームの裏側で起こっている飼い主のモラルの低下による
沖縄県内の動物の殺処分事情を取材している最中です。

本来なら、こんな悲しい現場をお見せしたくもないですし、
ましてや、これからニュース番組の中で
映像として放送する予定でもあるので、そのことについては、賛否両論あるかと思います。

でも、僕は敢えて、この悲しい出来事から現実逃避せず、
放送を見聞きして下さる沖縄の皆さんに
目を背けずに、しっかり動物の命の大切さを意識して頂きたい・・・と思い、
今回の特集企画を申し出ました。

実は、夕方のニュース番組を担当するようになってから
ずっと取り組みたい・・・と切望していた仕事内容の1つが、
動物の命の問題だったんです。

・・・というのも、沖縄県は、全国の他の都道府県に比べて
捨て犬、捨て猫の数が多くて、
今、発表されている最新の情報である
平成18年度の統計では、その数は全国でワースト1。

こういった捨て犬、捨て猫、迷い犬の保護、
または飼い主が飼育放棄や、引っ越しなどの諸事情で
殺処分を依頼する窓口となっているのが
南城市にある、沖縄県動物愛護管理センターです。

本来は、動物たちの命の大切さを
広く啓蒙する活動を行う施設なんですが、
この施設には、毎日、平均して20匹のワンちゃんが
さきほどの写真の鉄格子の中に保護され、
引き取り手がなかった場合は、5日間保護されたあと殺処分となります。

殺さないで!

本当だったら、こんな文字、見たくもありません。

だけど、何度も言うように、これが
身勝手な飼い主たちによって奪われてしまう動物たちの命の終わり方、
そして、沖縄県のペット事情の現実です。

勿論、ペットを心から愛し、
家族の一員として共に生活されている方も大勢いらっしゃいます。

その一方で、飼い主自身の身勝手な諸事情で
ペットを手放して、最終的に捨て犬、捨て猫にしてしまったり、
直接、愛護管理センターに殺処分を依頼しに来る飼い主も多いのですが、
たとえ、どんな事情があったとしても
最後まで責任を持つのが飼い主としての義務です。

ペットが飼えないのなら、初めから飼わなければいいし、
飼うのなら、一生涯、ペットが天寿を全うするまで
お世話をする覚悟で飼って頂きたいです。

その他にも、飼い主の知識不足で
放し飼いにしていたペットが他の人を咬んでしまい、
「申し訳ないから。」という理由で
殺処分にされてしまうペットのケースも、後を絶たないそうです。

特に沖縄では、この放し飼いのケースも、
他の都道府県に比べて顕著なんだそうです。

実際に、そういった理由から保護され殺処分を待つだけの
ワンちゃんたちを見せて頂きましたが、
みんな普段は大人しい、良い子ばかりでした。

きっと、何かの拍子でビックリしたり、
興奮したりして起こった出来事なのでしょう。

飼い主が放し飼いにせずに、しっかりリードを持っていれさえすれば、
こんな悲しい、この世の終わり方をせずに済んだであろうに、
これも、動物に罪があるわけではなく
全て飼い主の無責任さから生まれた結果です。

可愛いペットを自ら殺す行為と同じだと感じています。

だから、殺さないで欲しいのです。

ちょっとした心がけ、知識があれば、
救える命が沢山あるってことを知って頂くだけでも次の何かに繋がると思います。

殺さないで! 殺さないで!

一通りの現場を見て、建物の外に出ると、
「獣魂碑」が建立されていました。

ここで、しばし手を合わせて
「少しでも、こういった悲しい命の落とし方をしないペットが減るように、
 しっかりと、飼い主の心に届くように放送をしますね。」と
亡くなったワンちゃんやネコちゃんたちに報告してきました。

ふと、近くを見れば、この時期に咲く
まっ黄色のイペーの花が咲き乱れています。

なんだか、この平和な色鮮やかな花と、
先ほどまで直面していた悲しい現実のギャップがありすぎて
複雑な気持ちでいっぱいでした。

勿論、こういった現状をなんとか改善しようと、
必死にその啓蒙活動をされている職員の方や、
ボランティアスタッフの方の講習会、子犬の譲渡会など、
この動物愛護管理センターでは随時、行っています。

僕も昨日、この子犬の譲渡会の見学と、
ペットの講習会を受けてきましたが、ペットを飼う上で、知らないことも沢山ありました。

本来は、動物たちの殺処分施設ではなくて、
そういった動物たちの命の大切さを啓蒙する施設ですし、
スタッフの皆さんも、それを一番の使命と感じて
一生懸命努力されています。

僕は、そういったスタッフの姿、現場の声もしっかり
テレビをご覧になっている皆さんにお届けしたいと思っています。

このニュース番組の特集は、
まだ取材を始めたばかりなので、もう少し時間がかかりそうです。

しっかりと、動物たちの命の大切さが
皆さんの心に届くような特集にしたいと思っていますので
放送日時が決まりましたら、改めて、ご紹介しますね。

ペットとして、しっかり愛情を注がれて飼われる
ワンちゃん、ネコちゃんがいる一方で、
野良犬、野良猫として生きなければいけない一生、
または捨て犬、捨て猫として彷徨い、
最後は殺処分されてしまう動物たちの運命は、
決して、それが定められている訳ではありません。

僕たち人間が、いかようにも変えられる運命なんです。

大切な、大切な命です。

この機会に、みなさんも、
動物の命の大切さを考えてみられてはいかがでしょうか?




同じカテゴリー(仕事)の記事
ラスト・ニュース。
ラスト・ニュース。(2009-03-31 14:05)

最後の出社。
最後の出社。(2009-03-31 11:39)

繋がる命。
繋がる命。(2009-03-28 05:28)

最後の仕事@ラジオ
最後の仕事@ラジオ(2009-03-23 05:22)


Posted by 山野本 竜規 at 06:13 │仕事