RBCアナウンサー山野本竜規の「ナカトリモチ日記」

神社の神職は神と人との間を取り持つ「ナカトリモチ」。 神職資格を持つRBCアナウンサー山野本竜規が、仕事の 裏側からプライベートまで日々の出来事を皆さんにお届けします。
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2007年07月10日

正直者じゃ、ダメなのか!?

正直者じゃ、ダメなのか!?先日、僕が大好きな恩師である
春日美奈子先生から
素敵なプレゼントが届きましたキラキラ 

沖縄では販売されていない
オシャレで美味しい洋菓子と
ローズヒップティー、
素敵な緑色の万年筆、
そして優しさ溢れた手紙が
一緒に添えられていましたふたば



春日先生は、テレビ東京でキャスターとして活躍されていた方で
現在は、少年犯罪の分野の研究に努められ、
各種講演活動や執筆活動をされています。

僕と先生が出会ったのは、僕が大学3年の時。

ちょうど「放送業界で働きたいな」と考え
マスコミ業界を目指すための専門学校に通い始め
その時の講師として授業を担当されていたのが、
春日先生だったんです。

第一印象は・・・かなり厳しそうな先生・・・がーん
(↑本人が見たら怒るだろうなぁ・・・汗

学生だった僕たちからしてみれば、
春日先生は、雲の上のような存在の憧れの人で
先生の授業の厳しさは専ら評判だったので
ある程度の覚悟はできていたつもりです。

でも・・・。

当時、クラスにはマスコミ志望の学生・30人ほどがいて
みんな将来の夢に向かってヤル気満々・・・のはずだったのですが
最初の授業で全員の一通りの自己紹介が終わったあと
春日先生から発せられた第一声が・・・。

みなさんから、ヤル気が感じられません!
自分自身を伝える・・・ということが、どういうことなのか、全然分かっていませんね。
このままだったら、
マスコミどころか、普通の社会人としても通用しない人が多いですよ。


覚悟はしていましたけど、やっぱり、この直球は
世の中の酸いも甘いも何も知らない学生たちにとっては
かなり衝撃的だったと思いますタラ~

でも、これは、春日先生の
学生たちを想う、本当の優しさでもあったんですハート

ちょうど、同じようにマスコミ志望のクラスが隣にもあって、
隣のクラスからは、既に発声練習や、面接に必要な原稿読みなどの
技術的な指導が行われている様子で
講師や学生たちの声が
僕たちのところにも響いてきたのですが、
春日先生は、涼しい顔で一言。

私は、技術的なことは、学生の皆さんに何も望んでいません。
 隣のクラスで発声練習やっていますが、そんなことよりも、
 まずは、初対面の皆さんという「人間」が知りたいんです。
 だからこそ、しっかりと自己紹介ができないといけないんですよ・・・。


僕、この一言で、「この先生について行こう!」と決めましたチョキ

とにかく、先生の、
正直で、心優しく、真っ直ぐで、芯が一本通っている
颯爽とした生き様が、とても素敵だったんですキラキラ 

それでも、今以上に人見知りが激しかった僕は、
なかなか個人的にお話がしたくても、先生に近寄ることすら出来ず
授業後、質問攻めと自己アピールをするために
先生を取り巻く学生たちを遠巻きに見ながら、
トボトボと情けない気持ちで教室を後にしていたのを覚えています。

放送業界は夢や希望を発信する仕事だと思うから、
作る側の人柄が何よりも大切だと思って、この専門学校に来たけど、
やっぱり他人を押しのけて自己アピールできる位の人間でないと
マスコミ業界なんて、やっていけないのかなぁ・・・
ダウン

今の僕だったら、こんな偏見に満ちた、情けない心持ちの自分自身を
この、ば~~~かっ!」と頭を叩いて
一笑に付していると思うのですが、
当時の僕には
初対面の人と気軽に話せる器用さもなく
自ら進んで人の前に立つことすら苦手な性格だったので(今でも・・・かな汗
授業が終わって必死に先生を取り巻く学生の群れを見て
正直、その場で今の業界を諦めようと思った位・・・汗

でも、何度か授業を受けているうちに
授業終了後、先生が僕のところに歩み寄ってきて、
山野本君、自信を持ってね。
 あなただったら、絶対、大丈夫だから!!
」と、
ふと声をかけて下さるようになり、
それからは、ことあるごとに「大丈夫!」が
僕に対する先生の口癖になっていました。

授業では、
ダメ、ダメ、やる気が感じられない!」と厳しい表情を見せていても、
本当は、とても心優しく、夢を追いかける
学生想いの先生だったんです。

それから約1年間、先生の下で業界に必要な知識や
人間としてのあり方など
みっちりと教えて頂きましたキラキラ 

その結果として、現在に至るわけですが、
春日先生が、その年度に受け持った大勢の学生の中で
マスコミ業界、そしてアナウンサー職に就いたのは、
クラスで一番仲が良かったアホ親友の野田という男と、僕の2人だけ。

経験豊富な先生にしてみれば
最初から「なんとな~く」、同じ仕事人の匂いを感じていたのだ・・・と
後になって話してくれましたニコニコ汗

そして、何より感激したのは、
僕が内定をもらったときに、先生から頂いた言葉。

この業界、周囲の人たちを大切にせずに
地位や名誉のある人にだけ上手に取り入って
仕事をもらうような、人間としての感性が欠けた人もいるけど、
私は、正直者がバカを見るような世の中は、絶対に許せないの。

最初、山野本君と会った時、私と同じ感性を持っている人だと思ったから、
私は、そんな、他の人の心の痛みが分かる学生さんに
自分が歩んできた同じアナウンサーという仕事を選んで欲しくて、
色々教えてきたつもりです。

だから、これからも、他の人の心の痛みが分かる、
正直者がバカを見ない生き方を選んで、
素敵なアナウンサーになって下さいね!


・・・世の中、「なんでやねん!!!」と叫びたくなるような
理不尽な出来事や人間関係は沢山ありますよね。

一生懸命に頑張っているのに、認められなかったり、
悪い意味で、人を選んで
自分の都合の良い方向へ物事を運ぶような姑息な人の
やり取りを垣間見た時は、それこそ、
正直に生きていて、損なのではないか・・・」と
やるせない気持ちになることも、時にはあります。

僕も、いつでも自分の心に正直に生きているつもりですが
それが、時には衝突を招くこともあり
沖縄に来る前の20代の頃は、職場で
理不尽な出来事と闘い、人と衝突してばかりいた記憶があります。

だけど、たとえ正しいことを主張していたとしても、
争いからは、何も生まれません。
生まれるとしたら、
相手に対する更なる不快感か、ケンカによる疲労感だけです。

それでも、敢えて、正直に生きなければいけないのか・・・。

実は、柔らかく、正直に生きていく方法もあるんですねピース

今、僕は、このおおらかで穏やかな沖縄で、
そのことを心から体感しながら、日々の生活を送っています。

自分のゆるぎない信念さえ、しっかり持っていれば、
たとえ相手がどんな姑息な手段を使おうが
理不尽な発言を繰り返そうが、
少々、腹は立つにしても
「かわいそうな人だな・・・」と軽く受け止めることができるようになります。

それに、いちいち反応して
こちらの正論をぶちまけたところで相手は感情的になるばかりで
事態は益々悪化するばかり・・・。

20代の頃の僕は、こういった失敗を何度も繰り返してきました。

でも、今は、「受け止める」ということを覚えたので
たとえ、どんな人であろうとも
人それぞれの魂のレベルや経験によって価値観も違うもの・・・と
割り切ることができるようになり、
以前ほど過剰反応することはなくなりましたチョキ

そして、正直に生きていれば、
必ず、同じように正直に一生懸命生きている人が
それを、そっと見てくれていて、
いつかきっと、良い方向へと導いてくれるものですキラキラ 

春日先生も、僕と同じ生き方を選んでいる
人生の恩師であり、仲間でもあります。

先生と出会って、10年が過ぎようとしているのですが
遠く離れた場所で暮らしていても
こうやって、いつでも心は通じ合えるものです。

それは、やっぱり、お互いが
同じ人生の目標を持っているから。

いつでも、どんなときでも、自分自身に正直に・・・。
それプラス、今は、「柔らかく」その正直さを伝える。


先生、これからも、お互い、一歩一歩、
正直者がバカを見ない世の中を目指して、
自分の出来る限りのことをやっていきましょうね~ふたば


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Posted by 山野本 竜規 at 05:33│Comments(0)仕事
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